徳川家康の影武者説

明治35年に村岡素一郎は「史疑  徳川家康事蹟」という本を出版し、家康の影武者説を唱えた。影武者説を村岡が着想したのは、下記の古文書からである。

 

駿府政事録
駿府政事録

駿府政事録(すんぷせいじろく)は慶長16年(1611年)8月~元和2年(1616年)までの、駿府城における漢文で記した政治録・日記。全9巻。

幕府御金改役の後藤光次の著作と記載があるが、儒学者の林羅山という説もある。安永6年(1777年)写本。

1612年(慶長17年)8月19日の記述。

 

「御雑談の内、昔年御幼少のとき、又右衛門某と云う者あり。銭五貫[2]にて御所を売り奉るの時、9歳より18、9歳に至るまで、駿府に御座の由、談られ給う。諸人伺候、衆皆これを聞く」 

 

(雑談のうち、昔(家康)幼少の頃、又右衛門某というものが居た。銭五貫で御所(家康)を売った時、九歳から一八、九歳まで駿府にいたことを語られた。)